【技術資料】TPM/TVP タップ式密充填カサ密度測定機の選び方

粉粒体の「カサ密度」値は、人間で考えると体重のようなものであり、極めて基礎的な物性値のためトラブル時に役立つことはもちろん、常日頃から確実に管理しておきたい値のひとつでしょう。必要性の高い物性値だと認識しながらも、これまで測定された経験がないエンドユーザー様にとっては、カサ密度と言っても「疎充填カサ密度」と「密充填カサ密度」があり、測定方式としても「定質量方式」と「定容積方式」があり、、、と何かと複雑に感じてしまい、ついつい後回しにしてきたという方々もいらっしゃるのかもしれません。

ここでは、永らくご愛顧いただいている弊社製品のTPMとTVPを例としてタップ式密充填カサ密度測定機の選び方についてご紹介させていただきます。エンドユーザー様の機種選定の目安になれば幸いです。
タップ式密充填カサ密度測定機の選び方B
弊社のTPM-1A/3A及びTVP-1A/3を前提に、タップ式密充填カサ密度測定機の選び方として製品機器の仕様の絞り込みについて、STEP1からSTEP3、プラスアルファの手順を示しています。

タップ式密充填カサ密度測定機の絞り込み手順
STEP1:各種規格に準拠した仕様
STEP2:弊社で実績の多い仕様
STEP3:カスタマイズした仕様
+α:同時掛け本数、IQ/OQ、安全対策などの追加機能の付加




【TPM/TVP】STEP1:各種規格に準拠した仕様

タップ式密充填カサ密度測定機の主な規格一覧B
まず確認したい点は、エンドユーザー様のサンプルに応じた規格に準拠する必要があるのか?必要がないのか?という点で、この判断をSTEP1としています。

日本薬局方(局方)や日本産業規格(JIS)の規格に応じて、タップ式で密充填カサ密度を測定されたいエンドユーザー様には各種規格に準拠した仕様でご提供しています。タップ式密充填カサ密度測定についての主な規格を上の図で紹介しています。なお、各種規格は改訂等される場合がございますので、正確な詳細情報につきましては、本文末の参考文献などを参考にされるなどして、くれぐれもエンドユーザー様ご自身でご確認いただけますようお願い致します

タップ式密充填カサ密度測定の主な規格
・医薬品:日本薬局方(第1法・第2法・第3法)/USP/EP
・金属粉:日本産業規格(JIS Z 2512)/ASTM/ISO
・顔料:日本産業規格(JIS K 5101)/ISO
・ファインセラミックス:日本産業規格(JIS R 1628)
・アルミナ粉末:日本産業規格(JIS R 9301-2-3)

上記のサンプル種の他にも、触媒、インスタントコーヒー、粉乳、酸化ウラン粉末、活性炭等の密充填カサ密度測定の規格もございます。準拠されたい規格名を弊社にお知らせ頂ければご対応いたします。

ちなみに、弊社の経験的には、規格に準拠する必要性があるエンドユーザー様が必ずしも多くはないというのが実感です。サンプルに応じた各種規格が存在するとはいえ、粉粒体がゆえに、必ずしも規格に準拠した仕様がエンドユーザー様の固有のサンプルに適しているとは限らないようです。規格に準拠する必要性がないエンドユーザー様はSTEP2以降にお進みください。

【技術資料】タップ式密充填カサ密度測定機(タップ密度計)の容器と装置に関する局方(JP)

日本薬局方(第18改正)の一般試験法の「粉体物性測定法」の中には粉粒体のカサ密度の測定について言及されています。この中にで「2.タップ密度」という項目には「2.1第1法」「2.2第2法」「2.3第3法」の3つの方法が示されています。タップ密…

【TPM/TVP】STEP2:弊社で実績の多い仕様

タップ式密充填カサ密度測定機の弊社の標準仕様B
各種規格への準拠が必要ではないエンドユーザー様で、製品の仕様決定に迷われている方には、参考の目安として弊社で実績の多い仕様をご紹介しています。

タップ式密充填カサ密度の測定では、「定質量方式」と「定容積方式」があることは、さきほど触れましたが、不明な場合は下記の弊社ページがご参考になるかもしれません。

【基礎知識】密充填カサ密度の2つの測定法

KeyWord:密充填カサ密度・タップ密度・タンプ後(タッピング後)の見掛け密度・タップかさ密度・重装かさ密度・定質量・定容積 粉粒体サンプルの扱いにおいて、最低限、知っておきたい物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げるエンドユーザー様…

弊社の実績の多いタップ式密充填カサ密度測定機の仕様は下記の通りです。

弊社のタップ式密充填カサ密度測定機の標準仕様
定質量の測定容器と容量:メスシリンダー 150mL
定容積の測定容器と容量:金属製容器(SUS製カップ)100mL
タッピング速度:可変 20-80回/分(出荷時36回/分)
タッピング高さ:可変 20-60 mm(出荷時60mm)
タッピング回数:最大 999,999回(出荷時200回)
タッピング仕様(速度・高さ・回数)は定質量と定容積、共通です。

弊社も永らくタップ式密充填カサ密度測定機を国内で製造と販売をさせていただいておりますが、多くのエンドユーザー様で弊社の仕様でお使いいただいております。タッピング仕様(速度・高さ・回数)は出荷時としての設定は行っておりますが、エンドユーザー様のご使用に応じて、ある一定範囲内において可変でご利用いただけます。リピートオーダーも多くいただいており、弊社の仕様でご要望いただいていることから、エンドユーザー様でしっかりと弊社の製品が活躍している実感を得ることができ喜ばしい限りです。

【TPM/TVP】STEP3:カスタマイズした仕様

タップ式密充填カサ密度測定機のカスタマイズ仕様B
粉粒体の物性というのは多種多様で、簡単ではないと感じるのは、規格でもなく、弊社仕様でもないカスタマイズした仕様をご要望されるときです。可能な限り、エンドユーザー様にお応えしたいという思いから、弊社の製造スタッフを交え打ち合わせの上、仕様を絞り込んでいきます。

弊社でカスタマイズ可能なタップ式密充填カサ密度測定機の仕様は下記の通りです。

弊社でカスタマイズ可能なタップ式密充填カサ密度測定機の仕様
定質量の測定容器と容量:メスシリンダー 5-2,000mL
定容積の測定容器と容量:金属製容器(SUS製カップ)3-100mL
タッピング速度:20-300回/分
タッピング高さ:3-60 mm
タッピング回数:最大 999,999回
タッピング仕様(速度・高さ・回数)は定質量と定容積、共通です。

タッピング仕様については、タッピング速度、タッピング高さ、タッピング回数は、それぞれ独立した仕様とご理解ください。たとえばタッピング速度300回/分でタッピング高さ60mmを行うことは原理的に難しいです。いずれにしろ、事前にエンドユーザー様のご要望をお聞きした上で、弊社の技術スタッフを含めて打ち合わせの上、カスタマイズした仕様を決定していきます。

【技術資料】タップ式密充填カサ密度測定の「定質量」と「定容積」のどちらが一般的?

粉粒体の密充填カサ密度の測定方法として「定質量」と「定容積」の方式があります。初めて密充填カサ密度測定を行われるエンドユーザー様から「どちらの方式が一般的なのですか?」というご質問をお受けすることがあります。 「どちらが一般的か?」と尋ねら…

【TPM/TVP】+α:追加機能の付加

タップ式密充填カサ密度測定機の特注対応B
STEP1からSTEP3で、測定容器と容量、タッピング仕様(速度・高さ・回数)が絞り込むことができれば、同時に何本の測定を実施したいか?IQ/OQなどの証明書は必要か?安全対策のための追加機能は必要か?という「+α」の要件を絞り込むと良いでしょう。

これまで様々なエンドユーザー様のご要望にお応えしてきましたので、ご紹介した追加機能だけではなく、お気軽にご相談ください。

まとめ

タップ式密充填カサ密度測定機の選び方.まとめB
タップ式密充填カサ密度測定機の選び方として、ご案内してきた通り、事前に下記の点が明確になっていると絞り込みやすいのかもしれません。

まとめ:タップ式密充填カサ密度測定機の選び方
A. 測定方法:定質量/定容積/両方
B. 測定容器容量:例)250mL
C-1.タッピング速度:例)250回/分
C-2.タッピング高さ:例)3mm
C-3.タッピング回数:例)600回
D-1.同時掛け本数:1本掛け/2本掛け/3本掛け/4本掛け以上
D-2.書類:IQ/OQ等
D-3.安全対策:安全カバー/非常停止ボタン/その他

なお、初めて測定されるエンドユーザー様にとって、これらの仕様の値を見出すことが困難な場合は、ご遠慮くなくお気軽にお問い合わせください。

参考文献

厚生労働省「日本薬局方」

日本産業標準調査会「JIS検索」

【基礎知識】疎充填カサ密度の2つの測定法

Keyword:疎充填カサ密度・かさ密度・見掛密度・見掛け密度・初期かさ密度・軽装かさ密度・定質量・定容積 弊社の製品をお使いいただいているエンドユーザー様にお聞きすると、粉粒体を識別・管理する不可欠な物性値として「粒子径」と「カサ密度」を…


【技術資料】局方記載の2つの疎充填カサ密度測定器(ボリュームメーター)

日本薬局方(第18改正:以後「局方」)では粉粒体の疎充填カサ密度測定器として、2カ所にボリュームメーターが紹介されています。 局方で記載されている2つの疎充填カサ密度測定器 ・医薬品各条:結晶セルロース 項 「ボリュームメーター」 ・一般試…

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