【技術資料】局方記載の2つの疎充填カサ密度測定器(ボリュームメーター)

日本薬局方(第18改正:以後「局方」)では粉粒体の疎充填カサ密度測定器として、2カ所にボリュームメーターが紹介されています。

局方で記載されている2つの疎充填カサ密度測定器
・医薬品各条:結晶セルロース 項 「ボリュームメーター」
・一般試験法:粉体物性測定法 項 「ボリュメーター」

上記の項目では、装置の概略図も含め操作法がそれぞれ記載されています。一見、同じような粉粒体の疎充填カサ密度を測定する装置に見えますが、たとえば名称も結晶セルロース項では「ボリュームメーター」、一般試験法項では「ボリュメーター」のようにわずかに異なります。名称の違いは置いておいたとして、装置に必要な部品または構造、さらに受器の材質・形状・寸法・容積などの相違点は整理しておきたいところです。

改めて整理した上での大雑把な結論としては言えるのかもしれません。
・ふるいについては「目開きが異なる」
・受器については「円筒形の受器の場合は実質的には同等」

【技術資料】弊社製スコットボリュームメーター(結晶セルロース仕様)と局方

結晶セルロース仕様のスコットボリュームメーター(以下、「スコットVM」と略す)をご使用いただきまして、誠にありがとうございます。弊社製スコットVMと局方との合致性を整理してみました。 弊社製スコットVMの由来は、日本薬局方(以下、「局方」と…

局方記載の2つのボリュームメーターの相違点

局方記載の2つのボリュームメーターの相違点
弊社の部品呼称で局方に記載された2つの疎充填カサ密度測定器(ここでは「ボリュームメーター」)の装置構成を整理してみました。①試料投入ガイドについては、局方の結晶セルロース項では試料の投入方法として「漏斗の5.1cmの高さから…流し込む」と記載があるため、弊社製品では目安位置となるように試料投入ガイドを備え付けています。一方、一方試験法項では試料の投入方法及び投入高さは言及されていません。

このように同じようなボリュームメーターにおいて、言及のあるなしを整理してみると、③上部漏斗、④下部漏斗、⑤バッフルケース、⑥出口漏斗、⑧受器台について、表現の違いが一部で見られるものの実質的に内容は合致していると理解して良いかもしれません。

ただし②ふるいと⑦受器では内容が異なるため注意が必要でしょう。②ふるいについては、局方の結晶セルロース項ではふるいの目開きが2,000μm(2.000 mm)であり、一般試験方法項では1.0mmと異なります。大雑把に表現したとして、結晶セルロース項の目開きは2mm、一般試験方法項の目開きは1mmと大きく異なります。

また⑦受器の材質、形状、内径(寸法)、内容積(容積)について記載の違いが異なり、それらは次項で整理してみましょう。

局方記載の2つのボリュームメーターの受器

局方記載の2つのボリュームメーターの受器
局方の結晶セルロース項の受器では、材質、内径、内容積が記載され、一方の一般試験法項の受器では形状、寸法、容積が記載されています。

受器の材質については、結晶セルロース項では「真鍮製またはステンレス製」と言及されていますが、一般試験法項では受器の材質については言及されていません。受器の形状については、結晶セルロース項では言及されていませんが、一般試験法項では受器の形状として「円筒形または立方形」と言及されています。

受器の内径(寸法)と内容積(容積)については、結晶セルロース項では内径30.0±2.0mm、内容積25.0±0.05mLと言及されており、実質的に形状としては円筒形であると捉えて良さそうです。一方の一般試験法項では、先ほど紹介した通り形状として円筒形と立方形があり、円筒形の場合は内径30.0±2.0mm、内容積25.00±0.05mL、立方形の場合は一辺の長さ25.400±0.076mm、容積16.39±0.20mLと言及されています。

このように一覧で整理してみると、受器を円筒形で使用する場合には、内径と内容積(容積)が有効数字の違いはあるものの合致していると大雑把に捉えることができるでしょう。また一般試験法項では材質が言及されていないため、結晶セルロース項を参考に真鍮製またはステンレス製で製作されたものであれば、双方で使用できそうです。

参考文献

日本薬局方(第18改正)


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