【基礎知識】密充填カサ密度の2つの測定法

KeyWord:密充填カサ密度・タップ密度・タンプ後(タッピング後)の見掛け密度・タップかさ密度・重装かさ密度・定質量・定容積

粉粒体サンプルの扱いにおいて、最低限、知っておきたい物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げるエンドユーザー様が多いようです。人の健康診断でいうところの「身長」と「体重」に相当するのでしょう。カサ密度は、さらに「充填カサ密度」と「充填カサ密度」の両方があり、いずれのカサ密度の値も基本的な物性値としてほとんどのエンドユーザー様において測定されているようです。

【基礎知識】疎充填カサ密度の2つの測定法

Keyword:疎充填カサ密度・かさ密度・見掛密度・見掛け密度・初期かさ密度・軽装かさ密度・定質量・定容積 弊社の製品をお使いいただいているエンドユーザー様にお聞きすると、粉粒体を識別・管理する不可欠な物性値として「粒子径」と「カサ密度」を…

密充填カサ密度」の測定方法としては、日本薬局方(以後、局方)やJISなどの規格において、大きく2つの測定方法が示されています。

なお「充填カサ密度」は、下記の通り業界または規格によって呼び方が異なります。ここでは「充填カサ密度」に対して、可能な限り密に充填した際のカサ密度という意味として同義として扱っております。

各業界・主な規格ごとの「密充填カサ密度」の呼び方
・【医薬品・日本薬局方】タップ密度
・【金属粉・JIS Z 2512】タップ密度
・【顔料・JIS K 5101-12-2】タンプ後(タッピング後)の見掛け密度
・【ファインセラミックス粉末・JIS R 1628】タップかさ密度
・【アルミナ粉末・JIS R 9301】重装かさ密度

密充填カサ密度の2つの測定法

密充填カサ密度の2つの測定法
カサ密度は粉粒体の「質量」を「体積」で割った値で、測定容器内の粉粒体以外の空間を可能な限り小さくした状態のカサ密度が「密充填カサ密度」と言えるのでしょう。この「密充填カサ密度」の測定方法としては「定質量」法と「定容積」法の2つがあり、局方やJISなどの規格ごとに、どちらか、または両方の測定法が示されています。規格によって、測定容器の容量や詳細な手順などは異なりますが、まずは大きくはこの2つの密充填カサ密度測定法について整理してみましょう。

密充填カサ密度の2つの測定法
定質量法:一定の質量で容積(体積)が小さくなる
定容積法:一定の容積(体積)で質量が大きくなる

局方にけるタップ密度の第1法と第2法は「定質量」、第3法は「定容積」として記載されています。その他の規格として、たとえば金属粉のタップ密度測定法(JIS Z 2512)、顔料のタンプ法(JIS K 5101-12-2)の規格では「定質量」、アルミナ粉末の重装かさ密度測定法(JIS R 9301-2-3)は「定容積」と整理できます。さらにファインセラミックス粉末の定容積/定質量測定法(JIS R 1628)では、局方同様、「定質量」と「定容積」の両方が記載されています。これらの他にも密充填カサ密度の測定については、USP、EPだけでなく、JIS、ISO、IDF、ASTMなどでサンプルの種類に応じて規格が設けられています。

定質量による密充填カサ密度測定

一定の質量で容積(体積)が小さくなる
「定質量」による密充填カサ密度測定では、一定の質量の粉粒体サンプルをタッピング等により、測定容器内の粉粒体以外の空間を可能な限り小さくすることで、小さくなった容積(体積)を読み取り、密充填カサ密度を求める方法と言えるでしょう。

定質量」による密充填カサ密度測定の主な流れ
STEP1:サンプル質量(Wm)を秤量
STEP2:サンプルを全て体積計へ
STEP3:機械的にタッピング
STEP4:サンプル体積(Vm)を読み取る

まず一定の質量の粉粒体サンプルを秤量します。実際には、容器を風袋引きして粉粒体のみの質量(Wm)を秤量値として記録しておきます。秤量した粉粒体サンプルをすべて体積計(メスシリンダー等)に装入し、機械的にタッピングを開始します。タッピング終了の目安は局方や規格ごとに詳細が示されています。タッピングが終了し、粉粒体以外の空間が可能な限り減少し、小さくなった体積(Vm)を読み取り、記録します。

粉粒体のみの質量(Wm)を小さくなった体積(Vm)で割ったものが、密充填カサ密度Wm/Vm)として算出されます。

定容積による密充填カサ密度測定

一定の容積(体積)で質量が大きくなる
「定容積」による密充填カサ密度測定では、予め一定の容積(体積)の測定容器を使用し、過剰量の粉粒体サンプルが供給可能な状態で、測定容器内の粉粒体以外の空間を可能な限り小さくするためにタッピング等を行います。過剰分を取り除き、一定の容積に収め大きくなった質量を秤量し、密充填カサ密度を求める方法と言えるでしょう。

定容積」による密充填カサ密度測定の主な流れ
STEP1:容積(Vv)が一定の空の測定容器の質量(W0)を秤量
STEP2:サンプルを補助円筒が付いた測定容器へ
STEP3:機械的にタッピング
STEP4:補助円筒を取り除き過剰なサンプルをすり落とす
STEP5:容器込みのサンプル質量(Wv)を秤量

まず容積(Vv)が既知で、一定の容積(体積)の測定容器(サンプルが空の状態)の質量(W0)を秤量します。測定容器に専用の補助円筒を付けた状態で、測定容器の容量を超える粉粒体サンプルを装入し、機械的にタッピングを開始します。タッピング終了の目安は局方や規格ごとに詳細が示されています。タッピングが終了したら、補助円筒を取り除き、測定容器上に山盛りとなった過剰な粉粒体をすり落とし、容器ごとサンプル質量(Wv)を秤量します。

粉粒体のみの質量を(Wv ―W0)を容積が既知の容器体積(Vv)で割ったものが、密充填カサ密度Wv ―W0/Vv)として算出されます。

まとめ

密充填カサ密度」の測定方法は、上記でご紹介した通り、大きく分けて「定質量」と「定容積」の2つの方法が用いられているようです。また業界や規格によって「充填カサ密度」を示す呼び方も異なり、さらに装置動作、測定容器、装置構成が異なります。なお、弊社では、たとえば日本薬局方3.01-2で示されている「第一法」「第二法」「第三法」の全てに対応した機器をご提供しているだけでなく、ここで紹介した業界・主な規格に関わらずカスタマイズも含めあらゆる規格に対応した機器をご提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

各業界・主な規格ごとの「密充填カサ密度」の呼び方と測定方法
・【医薬品・日本薬局方】タップ密度:「定質量」&「定容積」
・【金属粉・JIS Z 2512】タップ密度:「定質量」
・【顔料・JIS K 5101-12-2】タンプ後(タッピング後)の見掛け密度:「定質量」
・【ファインセラミックス粉末・JIS R 1628】タップかさ密度:「定質量」&「定容積」
・【アルミナ粉末・JIS R 9301】重装かさ密度:「定容積」

【技術資料】タップ式密充填カサ密度測定機(タップ密度計)の容器と装置に関する局方(JP)

日本薬局方(第18改正)の一般試験法の「粉体物性測定法」の中には粉粒体のカサ密度の測定について言及されています。この中にで「2.タップ密度」という項目には「2.1第1法」「2.2第2法」「2.3第3法」の3つの方法が示されています。タップ密…

参考文献

・第十八改正日本薬局方 一般試験法「 3..01 かさ密度及びタップ密度測定法」
・金属粉のタップ密度測定法(JIS Z 2512)
・顔料のタンプ法(JIS K 5101-12-2)
・ファインセラミックス粉末の定容積/定質量測定法(JIS R 1628)
・アルミナ粉末の重装かさ密度測定法(JIS R 9301-2-3)

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