【基礎知識】疎充填カサ密度の2つの測定法

Keyword:疎充填カサ密度・かさ密度・見掛密度・見掛け密度・初期かさ密度・軽装かさ密度・定質量・定容積

弊社の製品をお使いいただいているエンドユーザー様にお聞きすると、粉粒体を識別・管理する不可欠な物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げられる方が多いようです。カサ密度には「疎充填カサ密度」と「密充填カサ密度」の両方があり、それぞれ用いられています。

【基礎知識】密充填カサ密度の2つの測定法

KeyWord:密充填カサ密度・タップ密度・タンプ後(タッピング後)の見掛け密度・タップかさ密度・重装かさ密度・定質量・定容積 粉粒体サンプルの扱いにおいて、最低限、知っておきたい物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げるエンドユーザー様…

ここでは「疎充填カサ密度」の測定方法について、日本薬局方(以後、局方)やJISなどの規格を参考に「疎充填カサ密度」の2つの測定方法を整理してみました。

疎充填カサ密度の2つの測定法

疎充填カサ密度の2つの測定法
粉粒体の「質量」を「体積」で割った値がカサ密度です。日常生活でも多くの方が経験するように、容器への粉の入れ方によって、容器に入る粉の量は変化します。限られた容器に、少しでも多くの粉を入れたい場合は、容器に振動を与えながら少しずつ粉を追加していくと、より多くの粉を容器に入れることができます。この際の粉粒体のカサ密度は「密充填カサ密度」に相当すると言えるでしょう。これに対し、静かに粉を容器に入れることによって得られるカサ密度が「疎充填カサ密度」に相当すると言えるかもしれません。

この「疎充填カサ密度」の測定方法としては「定質量」法と「定容積」法の2つがあり、局方やJISなどの規格ごとに、どちらか、または両方の測定法が示されています。規格によって、測定容器の容量や詳細な手順などは異なりますが、まずは大きくはこの2つの疎充填カサ密度測定法について整理してみましょう。

疎充填カサ密度の2つの測定法
・定質量法:一定の質量で容積(体積)を測る
・定容積法:一定の容積(体積)で質量を測る

局方における「疎充填カサ密度」、かさ密度(3.01-1)の第1法は「定質量」法、第2法と第3法は「定質量」法として記載されています。ちなみに、局方の「密充填カサ密度」、タップ密度(3.01-2)では、第1法と第2法が「定質量」法、第3法が「定質量」法であり、混乱を生じないように注意したいところです。

定質量による疎充填カサ密度測定

一定の質量で容積(体積)を測る

「定質量」による疎充填カサ密度測定では、一定の質量の粉粒体サンプルを体積計に静かに再現性良く装入し、読み取った体積の値を読み取り、疎充填カサ密度を求める方法と言えるでしょう。

「定質量」による疎充填カサ密度測定の主な流れ
STEP1:サンプル質量(Wm)を秤量
STEP2:すべてのサンプルを静かに再現性良く体積計へ装入
STEP3:サンプル体積(Vm)を読み取る

まず一定の質量の粉粒体サンプルを秤量します。実際には、容器を風袋引きして粉粒体のみの質量(Wm)を秤量値として記録しておきます。秤量したすべての粉粒体サンプルを静かに再現性良く体積計(メスシリンダー等)に装入し体積(Vm)を読み取り、記録します。

粉粒体のみの質量(Wm)を読み取った体積(Vm)で割ったものが、疎充填カサ密度(Wm/Vmとして算出されます。

定容積による疎充填カサ密度測定

一定の容積(体積)で質量を測る

「定容積」による疎充填カサ密度測定では、予め一定の容積(体積)の測定容器を使用し、過剰量の粉粒体サンプルが供給可能な状態で、粉粒体サンプルを静かに再現性良く容器に装入し、過剰分を取り除き、一定の容積に収められたサンプル質量を秤量し、疎充填カサ密度を求める方法と言えるでしょう。

「定容積」による疎充填カサ密度測定の主な流れ
STEP1:容積(Vv)が一定の空の測定容器の質量(W0)を秤量
STEP2:過剰量のサンプルを測定容器へ
STEP3:測定容器上で山盛り(過剰量)となるよう装入
STEP4:過剰なサンプルをすり落とす
STEP5:容器込みのサンプル質量(Wv)を秤量

まず容積(Vv)が既知で、一定の容積(体積)の測定容器(サンプルが空の状態)の質量(W0)を秤量します。測定容器の容量を超える過剰量の粉粒体サンプルを装入し、測定容器上に山盛りとなった過剰な粉粒体をすり落とし、容器ごとサンプル質量(Wv)を秤量します。

粉粒体のみの質量(Wv ―W0を容積が既知の容器体積(Vv)で割ったものが、疎充填カサ密度(Wv ―W0/Vvとして算出されます。

まとめ

「再現性良く」装入するために
疎充填カサ密度測定の定質量法と定容積法のいずれの場合においても、粉粒体サンプルを体積計または測定容器に静かに再現性良く装入することが求められます。同じカサ密度の測定でも、疎充填カサ密度ではなく密充填カサ密度の場合であれば、粉粒体サンプル装入時(または装入後)に振動を与える過程があるため、粉粒体サンプルの装入の過程においては人による誤差、または測定ごとの誤差が比較的生じないことが想像できます。ただし疎充填カサ密度の測定においては、この装入過程による測定結果への影響が大きいことが想像されるため、局方やJIS規格など各種規格においてサンプル固有の物性に応じた工夫がなされています。たとえば、粉粒体サンプルを測定容器に装入する前に、ふるいを通過させたり、漏斗を通過させたりというサンプルの物性に応じた工夫が挙げられるでしょう。

弊社では、充填カサ密度測定のサンプル装入の際には振動フィーダーの利用をお勧めしています。ホッパーに装入された粉粒体サンプルは振動フィーダーによって、再現性よく測定容器へと導くことが期待できます。これにより人による誤差を受けにくい再現性の高い疎充填カサ密度の結果を得ることができるでしょう。

参考文献

・第十八改正日本薬局方 一般試験法「 3.01 かさ密度及びタップ密度測定法」
・金属粉の見掛密度測定法(JIS Z 2504)
・顔料の見掛け密度(JIS K 5101-12-1)
・ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法:定容積/定質量測定法(JIS R 1628)
・アルミナ粉末の軽装かさ密度測定法(JIS R 9301-2-3)

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