【技術資料】タップ式密充填カサ密度測定の「定質量」と「定容積」のどちらが一般的?
粉粒体の密充填カサ密度の測定方法として「定質量」と「定容積」の方式があります。初めて密充填カサ密度測定を行われるエンドユーザー様から「どちらの方式が一般的なのですか?」というご質問をお受けすることがあります。
「どちらが一般的か?」と尋ねられても、弊社としては答えに困るのが正直なところですが、おそらくご質問の意図は、密充填カサ密度という測定において、サンプルの種別等は関係なく全般的にどちらの方が多く行われてるのか?ということだろうと理解して、思い切って、お応えしてみようと思います。
各種規格における「定質量」と「定容積」
各種の規格において、密充填カサ密度の測定方法として「定質量」と「定容積」がどの程度、採用されているか?を整理してみました。ここでは、医薬品、ファインセラミックス、金属粉、顔料、アルミナ粉末のサンプル種を主なタップ式密充填カサ密度測定の規格として取り上げましたが、他のサンプル種として、触媒、インスタントコーヒー、粉乳、酸化ウラン粉末、活性炭等の密充填カサ密度測定の規格もございます。
タップ式密充填カサ密度測定の主な規格
・医薬品:日本薬局方(第1法・第2法・第3法)/USP/EP
・金属粉:日本産業規格(JIS Z 2512)/ASTM/ISO
・顔料:日本産業規格(JIS K 5101)/ISO
・ファインセラミックス:日本産業規格(JIS R 1628)
・アルミナ粉末:日本産業規格(JIS R 9301-2-3)
ここで取り上げた規格またはサンプル種においては、図の通り「定容積」よりも「定質量」の方が多く採用されていることが示されます。金属粉、顔料、アルミナ粉末では「定質量」のみが規格として採用されていることがわかります。また、医薬品とファインセラミックスは「定質量」と「定容積」の両方が規格として採用されていますが、医薬品については3つの方法(第1法・第2法・第3法)のうち第1法と第2法は「定質量」の方式が採用されています。これらの規格に限定すれば「定容積」よりも「定質量」の方が多く採用されており、あえて書くなら「定質量」方式が「一般的」ということになるのかもしれません。
KeyWord:密充填カサ密度・タップ密度・タンプ後(タッピング後)の見掛け密度・タップかさ密度・重装かさ密度・定質量・定容積 粉粒体サンプルの扱いにおいて、最低限、知っておきたい物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げるエンドユーザー様…
弊社実績における「定質量」と「定容積」
タップ式密充填カサ密度測定の主な規格として取り上げた8つの規格(医薬品3法・ファインセラミックス2法・金属粉1法・顔料1法・アルミナ粉末1法)のうち6つの規格が「定質量」方式でした。ここだけで考えれば、規格上は「定質量」と「定容積」の比率は「3:1」で、「定質量」の方が一般的と表すことができるかもしれません。
恐縮ながら、近年の弊社の納入実績を調べてみました。
「定質量」と「定容積」の納入実績の比率はおおよそ「2:1」であり、「定容積」をお選びいただいたエンドユーザー様も、購入して数年後に「定質量」との併用を希望されるエンドユーザー様もいらっしゃることから、「定質量」方式を採用される方が多いように捉えています。
このようにサンプル種に応じて、各種規格において「定質量」と「定容積」のどちらか、もしくは両方が採用されていることもあり、「どちらが一般的か?」というご質問への回答が難しいのですが、弊社の納入実績も含めて、全般的には「定質量」方式が多い(または「一般的」)とお応えできるのかもしれません。
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