【技術資料】弊社製スコットボリュームメーターと局方

スコットボリュームメーター(以下、「スコットVM」と略す)をご使用いただきまして、誠にありがとうございます。弊社製スコットVMと局方との合致性を整理してみました。

弊社製スコットVMの由来は、日本薬局方(以下、「局方」と略す)の第十八改訂の「医薬品各条」の中の「結晶セルロース」項目の「かさ密度(p.1078-p.1079)」です。ここでは局方に言及されている内容を「ボリュームメーターに投入後の試料の挙動」「ボリュームメーターの装置構成」「ボリュームメーターの使用方法」の3つの視点で整理して記述してくこととしましょう。

ここでの整理:局方「結晶セルロースのかさ密度」の内容整理
「ボリュームメーターに投入後の試料の挙動」
「ボリュームメーターの装置構成」
「ボリュームメーターの使用方法」

弊社製スコットVMの投入試料の挙動

投入試料の挙動
局方で言及されている「ボリュームメーターに投入後の試料の挙動」は、「(ⅰ)装置」内に記載されており、ボリュームメーターという装置の概要と捉えることもできるでしょう。局方では、4つのバッフル板で構成されたバッフル箱内の上部から、試料を滑り落としながら落下させて、バッフル箱の底(下部)にとりつけシュートによって試料容器に集めると書かれています。弊社の取扱説明書では、用語の呼称は異なるものの内容的には同様(ふるい部を通過した試料は、下部漏斗、バッフルケース、出口漏斗を滑り落ち、受器に投入)としてご案内させていただいております。なお、弊社の呼称のバッフルケース、出口漏斗、受器は、局方ではそれぞれバッフル箱、シュート、試料用容器と記載されています。

このように局方で示されている「ボリュームメーターに投入後の試料の挙動」に対して弊社製スコットVMは準拠していると言えるでしょう。

弊社製スコットVMの構成

スコットボリュームメーターの構成
次に局方の「(ⅰ)装置」に主に記載されている「ボリュームメーターの装置構成」について、弊社製スコットVMと局方の言及を整理してみましょう。局方ではボリュームメーターの装置の概略図が示されており、6つの構成部品が言及されています。

局方に言及されている6つの構成部品
8.6号のふるい、漏斗(大)、漏斗(小)、バッフル箱(ガラスバッフル)、シュート、試料用容器、スタンド

構成部品のふるいについては、ふるいの目開きと取付位置が言及されています。また試料用用容器(弊社呼称「受器」)は材質、内径、内容積が言及されています。ただし、これら上記6つの全ての構成部品について、ふるいや試料用容器のように材質・寸法等の部品詳細や取付位置が言及されているわけではありません。たとえば、漏斗(大)、漏斗(小)については装置の概略図が示されているのみで材質・寸法などの部品詳細や取付位置の言及は確認できません。バッフル箱(弊社呼称「バッフルケース」)も4つのガラス製バッフル板(弊社呼称「バッフルプレート」)の構成のみの記載であり、シュート(弊社呼称「出口漏斗」)はバッフル箱の底という取付位置のみの記載です。上記の通り、局方では装置構成についてすべての構成部品について細部まで言及されているわけではないようです。弊社製スコットVMでは、これまでのエンドユーザー様の使用状況を製品に反映し、たとえば上部漏斗(局方の「漏斗(大)」)の上縁から5.1cmの高さから試料を投入することが局方に記載されていることから弊社独自に「試料投入ガイド」を標準構成部品として搭載しています。また、受器(局方の「試料用容器」)が操作者の経験有無に関わらず局方の求める出口漏斗(局方の「シュート」)の下に位置するように、組み込み式の受器台を標準構成部品として搭載しています。

このように局方で示されている「ボリュームメーターの装置構成」に対して弊社製スコットVMは準拠していると言えるでしょう。

弊社製スコットVMの使用方法

「ボリュームメーターの使用方法」としては、局方では主に「(ⅱ)操作法」として記述されています。弊社の取扱説明書では「使用方法」に主に記載しております。使用方法は大きく「準備編」「操作&算出編」「トラブル対応編」と内容的に分けることができるでしょう。

準備編

SV使用方法1
試料を装置に投入する前の段階、つまり使用方法の準備編として、弊社ではこれまでのエンドユーザー様のご使用状況を反映して、装置本体をステンレスバッド上に設置することや本体備え付けの水準器と調整ネジを用いた本体の水平調整をご案内しています。ただし、これらの準備は局方では言及されておらず、弊社独自のご案内となります。

局方では、装置の構成とも重なりますが、ふるいの目開きと設置位置が記述されています。準備の手順として、局方の「(ⅱ)操作法」では、材質、内径、内容積が規定された試料用容器(弊社呼称「受器」)の質量を精密に量ることが言及されています。ここでは空の試料用容器(弊社呼称「受器」)の質量値をB[g]としておきます。さらに局方では、質量を量り終えた空の試料用容器(弊社呼称「受器」)をシュート(弊社呼称「出口漏斗」)の下に置くように記載されています。なお弊社製スコットVMの場合は、先にご案内した通り、本体に受器台が標準構成部品として搭載されていますので、操作の経験に左右されず誰でも容易に適切な位置に受器(局方の「試料用容器」)を設置することが可能でしょう。

操作&算出編

SV使用方法2
準備編を終えると、いよいよ試料の投入です。局方では「ボリュームメーターの漏斗(弊社呼称「上部漏斗」)の上縁より5.1cmの高さから、ふるいに本品(試料)をその網目を詰まらせないようにゆっくり加え、ふるわれた試料が試料用容器(弊社呼称「受器」)からあふれ出るまで流し込む」と記載されています。

弊社製スコットVMでは「漏斗(弊社呼称「上部漏斗」)の上縁より高さ5.1cm」の位置に試料投入ガイドを標準構成部品として搭載しており、これらはエンドユーザー様のご使用状況の経験を反映させていただきました。先の「ボリュームメーターに投入後の試料の挙動」でご紹介した通り、装置の上部から投入した試料はバッフルケース(局方の「バッフル箱」)を滑り落ち、出口漏斗(局方の「シュート」)を経由して、受器(局方の「試料用容器」)に導かれます。

受器(局方の「試料用容器」)であふれ出した試料をスライドガラスですり落とし、質量を精密に量ることが局方にも記述されています。ここでは過量分をすり落とした後の試料を含む試料用容器(弊社呼称「受器」)の質量値をS[g]としておきます。

準備編でご案内した空の試料用容器(弊社呼称「受器」)の質量値をB[g]と過量分をすり落とした後の試料を含む試料用容器(弊社呼称「受器」)の質量値をS[g]の差を試料用容器(弊社呼称「受器」)の内容積(25cm3)で除した値が、局方で示される「かさ密度」として算出されます。

トラブル対応編

SV使用方法3
局方では試料投入時にふるいの網目が詰まった際のトラブル対応について言及されており、ふるいを外すよう記載されています。弊社製スコットVMでも、目詰まりが生じた場合は上部漏斗(局方の「漏斗(大)」)からふるいを外し、清掃後に再度設置するようご案内しています。

弊社製スコットVMのエンドユーザー様からお聞かせいただいたトラブルとして、試料となる粉粒体によってバッフルケース(局方の「バッフル箱」)内に試料の付着が生じる場合があるようです。バッフルプレート(局方の「バッフル板」)に試料が付着した場合は、バッフルケース(局方の「バッフル箱」)の左右に取り付けられた両面6ヶ所のネジを緩めることでバッフルケース(局方の「バッフル箱」)が前後に分解できるため、内部のバッフルプレート(局方の「バッフル板」)に付着した試料をブラシにより掃い落とし清掃することができる装置設計としております。このような弊社独自のトラブル対応方法についても取扱説明書の使用方法でご案内しています。

このように局方で示されている「ボリュームメーターの使用方法」に対して弊社製スコットVMは準拠していると言えるでしょう。

参考文献

日本薬局方「第十八改訂」

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