【基礎知識】付着力と自重の関係
重力すなわち粒子の自重
弊社でのこれまでの社内勉強会で、付着力には3つの力があり、それらとの粒子径の関係性を学びました。今回、さらに重力、つまり粒子の自重について学んでいきます。自重の大きさは、下記の式で表されるようです。
重力(自重)
Fg={(π・ρ・g)/ 6}・x3
・π:定数
・ρ:粒子の密度
・g:重力加速度
・x:粒子径
この式には定数としてπとgと6が含まれ、変数としてρとxが含まれています。ちなみに、宇宙開発が盛んな時代ではありますが、ここでは地球上という限定した環境で考えているため重力加速度は定数として扱うことにしています。
粒子によってその粒子の密度は異なりますが、粒子の密度(ρ)が大きくなればなるほど、自重(Fg)が大きくなることが示されます。また、粒子径(x)が大きくなるほど自重が大きくなることも示されています。粒子径は付着力だけでなく、自重(Fg)の大きさにも影響を及ぼしているというこですね。
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3つの付着力と粒子径の関係 弊社でのこれまでの社内勉強会で、粒子間の付着に関係する力は下記の3つがあることを学びました。 3つの付着力 ・液架橋力:FL≈π・τ・x ・ファンデルワールス力:FV={A/(24・z2)}・x ・静電気力:FC…
付着力と自重の関係
付着力と自重の関係をグラフ上に表現すると上記のような図になるようです。
自重(Fg)は粒子径(x)の3乗に比例しているので、付着力(ファンデルワールス力)に比べて傾きが大きくます。傾きの異なる直線が複数あるため、そこには交点「Xc」が現れます。壁に粉が付着している状態を考える場合、交点Xcより小さい粒子径では、自重(Fg)よりも付着力が大きくなり、つまり、壁に粒が付着したままとなるようです。逆に、交点Xcより大きい粒子径では、付着力より自重(Fg)が大きくなり、粉が壁から離れ、落下するということのようです。また興味深いことに、通常の粉粒体では構成成分が変わっても、交点Xcの値は70~80μmになるようです。
粉体と粒体の境目
付着力と自重の関係をグラフで表現すると交点Xcが現れました。粉粒体、つまり粉体と粒体を考えるときに、粉体と粒体を分ける目安としての境目が、この交点Xcという考え方があるようです。
「粉体とは付着力が支配的なもの」、「粒体とは自重が支配的なもの」という考え方に則れば、通常の粉粒体において粒子径が70~80μmを境に、粒子径がXcより小さいものを粉体、粒子径がXcより大きいものを粒体と言えるでしょう。
粉粒体を手で触った際の「ザラつき感」の目安である粒子径10μmであることを以前に学びました。「ザラつき感」を迷うような粉粒体を手にした時、その粉粒体の粒子径は10μ程度であるということで、さらにその粉粒体は粒体ではなく、粉体と言えるということになりそうです。
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まとめ
付着力と自重の関係をグラフ化することにより、交点Xcの存在を知り、その交点Xcの値は通常の粉粒体であれば70~80μmであることを学びました。またその交点Xcを境として、粒子径が小さい粉粒体を粉体、大きい粉粒体を粒体と呼べるということを学びました。また、付着力も、自重にも粒子径が大きく関与していることを知り、改めて粉粒体を取り扱うときにはおおよそでも粒子径を知っておくということが重要であることを学びました。。
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参考文献
「わかる!使える!粉体入門」山田昌治 著
「トコトンやさしい粉の本」山本英夫・伊ケ崎文和・山田昌治著