【基礎知識】粒子間の3つの付着力

粒子間の3つの付着力

3つの付着力

3つの付着力
弊社では、社内勉強会を定期的に開催しています。
今回は、粉と粉との間に働く付着力について、書籍「わかる!使える!粉体入門」を参考に社内で勉強会を行いました。

書籍によると、粒子間の付着に関係する力は下記の3つがあるようです。

粒子間の3つの付着力
A.液架橋力(えきかきょうりょく)【FL
B.静電気力【FCE
C.ファンデルワールス力【FV

粉体と粉体がくっついて、ホッパーを詰まらせたりするときには、この3つの付着力を思い浮かべ、考えていけば良いのかもしれません。

A.液架橋力

A. 液架橋力
粉体の表面が水と馴染みやすい性質の場合、空気中の水分が液架橋力を発生させ、粒子間の付着の要因となるようです。液架橋力の大きさは、下記の式で表されます。

A.液架橋力FL≈π・τ・
π:定数
τ:液体の表面張力
:粒子径

この式には、定数としてπが含まれ、τという変数が含まれています。
このことから、液架橋の原因となる液体の表面張力(τ)が大きくなればなるほど、液架橋力が大きいことが示されます。同様に、粒子の大きさ、つまり粒子径(x)が大きくなるほど液架橋力が大きくなることが示されます。

B.静電気力

B. 静電気力
冬の乾燥した日に生じる静電気、これも粒子間の付着の要因となるようです。粒子間の静電気力の大きさは下記の式で表されます。

B.静電気力FCE=(π・σ・σ0)・
π:定数
σ:粒子の表面電荷密度
ε:媒体の誘電率
:粒子径

この式には、定数としてπが含まれ、σεという変数が含まれ、さらにσは分子に、εは分母に含まれていることがわかります。
このことから粒子の表面電荷密度(σ)と粒子径(x)が大きくなるほど静電気力(FCE)は大きくなることが示されます。また粒子径に関しては、2であることから静電気力(FCE)に及ぼす影響も2乗分であることが示されます。一方で、媒体の誘電率(ε)が大きくなるほど静電気力(FCE)は小さくなることが示されます。

C.ファンデルワールス力

C. ファンデルワールス力
書籍によってはファンデワールス力と表記されている場合もありますが、ここでは「ファンデルワールス力」と表記します。聞いたことがあるような、ないような、いずれにしても理論までさかのぼると双極子モーメント、量子力学と呼ばれる難解な領域に足を踏み入れざるをえなさそうなので、ここでは単に分子と分子、粒子と粒子の間に働く力のひとつという程度の理解で置いておきたいと思います。この粒子間のファンデルワールス力の大きさは下記の式で表されます。

C.ファンデルワールス力FV={A/(24・z2)}・
:ハマカー定数
z:粒子間の隙間
:粒子径

この式には、定数として24が含まれ、変数としてzが含まれています。zが分母に含まれていることから、粒子間の隙間の距離が大きくなればなるほどファンデルワールス力(FV)は小さくなり、一方で、粒子径(x)が大きくなるほどファンデルワールス力(FV)は大きくなることが示されます。

まとめ

粒子と粒子の間に働く付着という現象を目にした際に、A.液架橋力、B.静電気力、C.ファンデルワールス力という3つの力を思い浮かべると良さそうです。それらの大きさを示す式には、いずれも粒子径()が分子に含まれており、つまり粒子の大きさが大きくなればなるほど3つのいずれの力も大きくなるということが示されており、さらにはB.静電気力に関しては、粒子の大きさが2乗分の影響を及ぼすことが示されているということになりそうです。

【基礎知識】付着力と粒子径の関係

3つの付着力と粒子径の関係 弊社でのこれまでの社内勉強会で、粒子間の付着に関係する力は下記の3つがあることを学びました。 3つの付着力 ・液架橋力:FL≈π・τ・x ・ファンデルワールス力:FV={A/(24・z2)}・x ・静電気力:FC…


参考文献

「わかる!使える!粉体入門」山田昌治 著

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