【技術資料】試験用ふるいに装入する試料量の目安
ふるい振とう機を使用して、サンプルのふるい分けを行う場合のふるいに装入する試料量の目安について、日本産業規格JIS Z 8815「ふるい分け試験方法通則」をもとにご紹介します。「え?そんなに少量しか入れないの?」と驚かれるエンドユーザー様もいらっしゃるかもしれません。なお、このJIS Z 8815の規格は、そもそも「粒径分布を測定するために行うふるい分け試験方法」に関して書かれており、より正確な粒子径分布を得る目的のために丁寧な方法と言えるでしょう。
試料量の最大高さの目安を算出
日本産業規格JIS Z 8815「ふるい分け試験方法通則」の5.3.1に「試験試料量」という項目があり、そこには試験用ふるいの直径(φ200mmとφ75mm)と目開き(20μm~22.4mm)に応じた「装入試料の最大かさ体積」が表で示されています。たとえばφ200mmの試験用ふるいで、目開きが1mmの場合、「装入試料の最大かさ体積」は140cm3と読み取ることができます。
ただ、実際にふるい振とう機を使用して、ふるい分けを行う場合、体積を目安にするというのはなかなかの熟練度が必要になりそうな気がします。そこで、非常に単純な算出方法ではありますが、装入試料量の目安を「厚さ(または「高さ」)で表すことを試みてみました。ふるいにサンプルを入れた時の厚さであれば、熟練度を必要とせず目安として活用できそうな気がします。
算出方法は、いたって単純です。ここでは、φ200mmで目開き1mmの場合を例にして、ご説明します。JIS規格からφ200mmで目開き1mmの場合の「装入試料の最大かさ体積」は、先ほどご紹介した通り140cm3と示されています。試料をふるいに装入することを想定すると、円筒状の体積(V)は「ふるい面の面積A」x「厚さ(高さ)h」と考えることができます。「ふるい面の面積A」は「πx(半径)2」として求めることができ、φ200mmの場合は半径(r)は10cmで、πを3.14とすると314cm2となります。体積(V)を底面積Aで割れば、高さ、つまり装入試料の最大厚さ(h)が算出できます。この場合、「装入試料の最大かさ体積(V)」が140cm3で、「ふるい面の面積A」が314cm2なので、0.445cmという値が算出され、およそ4.5mmが「装入試料の最大厚さ」の目安ということになります。
φ200mm(目開き1mm)のふるいに入れる試料量が、厚さ4.5mm。このサンプル量の厚さはどんな印象でしょうか?実際のご使用状況と比べて、多いでしょうか?少ないでしょうか?
φ200mmのふるいに装入する試料の目安
前項でご案内した単純な算出方法を用いて、φ200mmの試験用ふるいについて、JIS規格の目開きに応じた「装入試料の最大かさ体積」と弊社で算出した「装入試料の最大厚さ」の目安は図に示した通りです。弊社のふるい振とう機では下記の製品が主な対象ということになります。
ふるいの目開きが大きくなるほど、「装入試料の最大かさ体積」が大きくなり、結果として「装入試料の最大厚さ」の目安値も大きくなっています。たとえばφ200mmの場合、目開きが20μmであれば「装入試料の最大厚さ」は0.6mmです。これほど小さな厚さだと「1mmでは多い」という感覚でないと目安としても使うのも難しいような気がしてきそうです。目開きが22.4mmであれば、「装入試料の最大厚さ」は50.9mmとなり、感覚的にも「5cm程度」という目安として使いやすいかもしれません。
φ75mmのふるいに装入する試料の目安
前項に続いて、同様にφ75mmの試験用ふるいについて、JIS規格の目開きに応じた「装入試料の最大かさ体積」と弊社で算出した「装入試料の最大厚さ」の目安は図に示した通りです。弊社のふるい振とう機では下記の製品が主な対象ということになります。
φ75mmもφ200mmと同様に、ふるいの目開きが大きくなるほど、「装入試料の最大かさ体積」が大きくなり、結果として「装入試料の最大厚さ」の目安値も大きくなっています。たとえばφ75mmの場合、目開きが20μmであれば「装入試料の最大厚さ」は0.2mmで、目開きが22.4mmであれば22.6mmとなります。目開きが22.4mmであれば、感覚的にも「2cm程度」という目安として使いやすいかもしれませんが、目開きが20μmでは「1mmでは多すぎる」という感覚をもつ必要がありそうです。
参考文献
JIS Z 8815(1994)「ふるい分け試験方法通則」
いつも弊社製ふるい振とう機をご使用いただきまして、ありがとうございます。初めてふるい振とう機をご使用になるエンドユーザー様からお問い合わせいただく内容として、ふるいの洗浄方法について、またある程度の使用経験のあるエンドユーザー様からは、試料…