【基礎知識】ふるい振とう機を用いた「中位径」の算出

砂場で遊んでいた頃の幼き記憶の中に、砂と言えども、さまざまな大きさがあるなと感じたものです。粉粒体も同様に、同じ成分の粉でも粒子径の大きさは必ずしも一様でないことは経験的にもよく理解できます。粒子径が幅広く存在している場合、その粉粒体を代表する目安となる粒子径として「中位径」という考え方が用いられているようです。参考文献によると、ふるい振とう機を用いて、この「中位径」の算出が可能なようです。

Keyword: 粒子径分布・中位径・中央値・ふるい振とう機

「中位径」は粒子分布の中央値

「中位径」は粒子径分布の中央値
「中位径」は粒子径分布の「中央値」と参考文献には書かれています。ある集団の代表の目安の値として、平均値は聞き馴染みがあります。平均値は、ご存じの通り、全体の値の合計値を個数で割った値です。比較的、容易に算出できそうです。
ただし中央値は、平均値とは異なります。たとえば9コの粉粒体の限られた場合を考えてみましょう。9コの粉粒体を粒子径の小さい順番に並べて、順番的に中央に位置する値が中央値となります。9コの粉粒体の場合だと、順番的に小さい方から5番目の粉粒体の粒子径が中央値であり、つまりは「中位径」となるようです。図の中では、#1から#9まで9コの粉粒体があり、ちょうど真ん中の位置に相当する#5の粉粒体の粒子径が中央値であり「中位径」となります。

正規分布にならない粒子径分布

正規分布にならない粒子径分布
粉粒体の数が9コだけの場合だと、小さい順に並べて…ということも可能でしょうが、一般の粉粒体では到底、数えてはいられないでしょう。さらに粉粒体の困った点は、多くの粉粒体において、横軸を粒子径とした場合の「粒子径分布」が正規分布にならないという点です。仮に粒子径分布が左右対称の正規分布(またはガウス分布)であれば、中央値と平均値が一致しているので、平均値を求めれば中央値が求まり、比較的容易に「中位径」が求まりそうです。しかしながら、多くの粉粒体の場合、粒子径分布が左右非対称の分布なため、平均値が必ずしも中央値に相当せず、さらに正規分布のように最頻値が中央値に相当するということにもならないようです。粒子径分布が正規分布を示さないために、粉粒体の代表として目安値である「中位径」を求めるに、ひと工夫が必要のようです。

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ふるい振とう機を用いた「中位径」の算出

粒子径分布の中位径(中央値)の算出
ふるい振とう機を用いた「中位径」の算出方法
①ふるい振とう機を用いてデータを収集する
②データを専用紙にプロットする
③回帰直線を求める
④R値50%で補助線を引く
⑤回帰直線の交点から中位径を読み取る

粉粒体の代表となる目安値である「中位径」を求めるために、まずは対象となる粉粒体のふるい分け試験を行い、データを収集するところから始まります。目開き(Xn)の異なるふるい上に残った画分の質量%(Mn)をデータとして用います。ふるい振とう機を用いてのデータの収集方法については、日本産業規格JIS Z 8815「ふるい分け試験方法通則」が参考になるでしょう。

ふるい振とう機を用いて得られたデータ値を専用紙(対数正規確率紙など)にプロットし、回帰直線を得ます。専用紙の積算篩上(R値)の50%に補助線を引き、先ほどの回帰直線との交点から粒子径を読み取ります。この読み取った値が「中位径」となります。また、こうした専用紙(一般社団法人日本粉体工業技術協会で入手可能)を用いることで「中位径」だけでなく、標準偏差の値も同時に算出できるようです。

参考文献

・「わかる!使える!粉体入門」山田 昌治 著
・「ふるい分け試験方法通則JIS Z 8815」日本規格協会 発行



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