【技術資料】タップ式密充填カサ密度測定機(タップ密度計)の容器と装置に関する局方(JP)
日本薬局方(第18改正)の一般試験法の「粉体物性測定法」の中には粉粒体のカサ密度の測定について言及されています。この中にで「2.タップ密度」という項目には「2.1第1法」「2.2第2法」「2.3第3法」の3つの方法が示されています。タップ密度計やタップ式密充填カサ密度測定機などと呼ばれる装置を用いた密充填カサ密度の測定について、これら3つの方法それぞれの測定容器や装置動作について詳細に記載されていますので、これらを整理してみようと思います。
なお、局方は改正も行われるため、あくまで参考に留めて頂き、公式な情報は原本(局方)を参照していただくよう予めご了承ください。
局方に記載されているタップ密度測定の測定容器
日本薬局方(以後、局方)の「2.タップ密度」という項目には粉粒体の密充填カサ密度の測定方法として「2.1第1法」「2.2第2法」「2.3第3法」の3つの方法が示されており、これら3つの方法でタッピング装置という機械が必要となります。また別途「【基礎知識】密充填カサ密度の2つの測定法」でご紹介した通り、密充填カサ密度の測定法として「定質量」と「定容積」がありますが、第1法と第2法は「定質量」、第3法は「定容積」と区分することができるでしょう。
KeyWord:密充填カサ密度・タップ密度・タンプ後(タッピング後)の見掛け密度・タップかさ密度・重装かさ密度・定質量・定容積 粉粒体サンプルの扱いにおいて、最低限、知っておきたい物性値として「粒子径」と「カサ密度」を挙げるエンドユーザー様…
局方で記載されているタップ密度計で使用される測定容器の詳細について、上の図に整理してみました。「定質量」の第1法と第2法ではメスシリンダー、「定容積」の第3法では指定された測定用容器と補助円筒がそれぞれ測定容器として使用されます。
第1法と第2法で使用するメスシリンダーについては、「容器質量」「容器容量」「最小目盛り単位」「容器全長」「250mL目盛り部長さ」に加え、メスシリンダーを設置する「支持台質量」の規定がされており、それらは試料100g未満と100g以上でそれぞれ規定されていることがわかります。これらの規定は第1法と第2法では共通してます。
一例として「定質量」で試料100g以上の場合、局方を参考にするならば下記の測定容器を使用することになるでしょう。
「定質量」で試料100g以上の場合
第1法と第2法共通
- 容器名称:メスシリンダー
- 容器質量:220±44 g
- 容器容量:250 mL
- 最小目盛り単位: 2 mL
- 容器全長: 335 mm以下
- 250mL目盛り部長さ:200 mm以下
- 支持台質量:450±10 g
一方、「定容積」である第3法で使用する「測定用容器」と「補助円筒」については、寸法図が局方に記載されています。
局方に記載されているタップ密度測定の装置動作
測定容器内の試料を機械的にタッピングするためのタップ密度計の装置動作についても、第1法、第2法、第3法それぞれに規定がされています。局方には「タッピング装置」という装置の概要図が示されており、装置動作の仕様については「タップ高さ」と「タップ速度」が示されており、上の図に整理してみました。
先程の測定容器では「定質量」の第1法と第2法は共通でしたが、装置動作についてはわずかに異なるようです。また「タップ高さ」に応じた「タップ速度」が示されています。
一例として「定質量」で第1法を参考に粉粒体の密充填カサ密度を測定する場合は、下記の装置動作で行うことになるでしょう。
「定質量」で第1法を参考にする場合、下記のいずれかの装置動作で行うことになりそうです。
「定質量」で第1法の場合
・タップ高さ:3±0.2mmでタップ速度250±15回/分(公称)
または
・タップ高さ:14±2 mmでタップ速度300±15回/分(公称)
一方、「定容積」である第3法で使用する場合は、タップ高さの指定はありませんが、タップ速度は50~60回/分で行うことになるでしょう。
参考文献
日本薬局方(第18改正)「3.01-2.タップ密度」(p. 99-100)