【技術資料】二分器の選び方

エンドユーザー様から「二分器の選び方」をご相談されることがあります。JIS規格において、二分器では号数が示されていますが、初めてご使用になる際や初めての試料の場合など、やはりご不安なようです。

まずお伝えしたいのは仕様・機能の観点からは、二分器の号数の場合「大は小を兼ねる」ということかもしれません。
大きい号数、たとえば50号の二分器は10号としても使用可能であり、10号の二分器は6号として使用可能です。ただし問題なのは、たとえ二分器として使用可能でも、号数が大きくなればなるほど二分器自体のサイズも大きくなり、重量も重くなることから、費用面と運用面を考えると必ずしも大きな号数を選んでおけば大丈夫という簡単なことではなさそうです。そこで「エンドユーザー様に適した二分器をどう選ぶか?」さらにはカスタマイズや特注も含めて弊社にご依頼いいただくことが多いようです。
二分器の選び方
二分器をお選びいただく前に、縮分をされたい試料の「最大粒子径(mm)」と「試料体積(L)」を明確にされていると選びやすくなるでしょう。

エンドユーザー様に適した二分器の選び方の手順として、以下のようなステップをご提案しています。

STEP1:試料の中で最大粒子径から絞り込む
STEP2:縮分したい元の試料体積で絞り込む
STEP3:使用状況に合わせた工夫の必要性で絞り込む

二分器の選び方STEP1

二分器の選び方 STEP 1
縮分されたい試料の中で、最大となる粒子径が予め分かっていれば、STEP1の絞り込みが可能です。

たとえば、エンドユーザー様の試料の中の最大の粒子径が3mmの場合を考えてみましょう。上の図の通り、最大粒子径が2.80mmを超えているため二分器本体の溝の幅が根拠となり6号をお選びいただくことはできません。STEP1の最初の絞り込みとして6号を除く10号、20号、30号、50号、60号、特注の中でお選びいただくことになります。

エンドユーザー様の中には、最初のステップのこのSTEP1の最大粒子径による絞り込みをもって、最終的な号数の決定とされる場合があります。たとえばエンドユーザー様の試料の中の最大の粒子径が3mmの場合、2.80mmを超えて5.00mmなので、6号に決定されるという場合です。ただし、これでは少し早計のように感じます。実際の運用を考えると、さらにSTEP2へお進みいただくことをお勧めいたします。

二分器の選び方STEP2

二分器の選び方 STEP 2
実際の運用を考えた場合、縮分されたい元の試料の体積を考慮しておく方が良いでしょう。二分器はご存じの通り、二分器本体の上部から試料を投入し、投入された試料は二分割されて2つの試料受器に導かれます。つまり、縮分したい元の試料量が試料受器の2倍量以下でないと、せっかく縮分され二分割された試料が試料受器から溢れだすという事態に陥ってしまうでしょう。

縮分したい元の試料量 < 試料受器の容量(体積)の2倍量

たとえば、先程の例で考えると、最大粒子径が3mmの場合は6号を除く10号より大きな号数から選ぶことができました。その際、縮分したいエンドユーザー様の元の試料体積が仮に30Lの場合、10号と20号の二分器を使用すると試料受器から溢れ出てしまうため、30号以上、つまり、30号、50号、60号の二分器からお選びいただく方が良いということでしょう。

二分器の仕様または機能としては「大は小を兼ねる」のですが、号数が大きくなるほど二分器自体(本体や試料受器)も大きく、重くなるため、STEP2で絞り込んだ中で一番小さい号数をお選びいただくと良いでしょう。先程からの例の場合、30号、50号、60号で全て仕様的に適していますが、一番号数の小さい30号を選ぶということになるでしょう。

二分器の選び方STEP3

二分器の選び方 STEP 3
STEP2までで号数が決まれば、運用面でより効率的に進めるために使用状況に合わせたタイプまたは特注による工夫をされると良いでしょう。たとえば「三輪式」と弊社で呼んでいる二分器の場合、試料受器が試料給鉱器と兼ねており、さらに試料受器(兼試料給鉱器)が4つ付属しております。

これにより、たとえば試料受器(兼試料給鉱器)を2つ受器として予めセットし、1つを給鉱器として試料を二分器に投入します。、その後、先程、給鉱器として使用していた試料受器(兼試料給鉱器)を今度は受器としてセットし、既に二分割された試料受器(兼試料給鉱器)を投入するといった連続的に縮分が行えます。運用面を重視されるエンドユーザー様ではこの「三輪式」の二分器も非常に人気です。また溝の幅を変更するなどのカスタマイズ(特注)製品も多くお受けしております。

参考文献

JIS M 8100「粉塊混合物-サンプリング方法通則」日本規格協会 発行

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